国交省による区議会への都心低空飛行ルートの説明会のご報告。

9月7日(土)盆踊り会場から見えたゴーアラウンドによる低空飛行の旅客機。大きな飛行機の姿に子どもたちも驚いていました。

遅くなりましたが、9月6日に行われた「区議会に対する都心低空飛行ルートの説明会」のご報告です。
結論を言ってしまえば、国としてはこのまま事業を進めていくということにほかなりませんでした。

質問は様々な視点から出されましたが、やはり関心の中心は「国の決定は区議会が全会一致で出した決議に反しているのではないか?」という点です。それについては、東京・生活者ネットワークとして、国交省に申し入れを行った際の答弁(答弁はこちら)と全く同じでした。区民としても区議会としても納得しがたい「同意」の解釈です。

区議会は納得していない、区議会への説明を実施したことを「同意を得た」とすることに利用しないでほしいという意見や、事業を進めるなら少なくとも「区民の反対を押し切って実施」と言い表すべきではないかという意見も出されました。

ある程度の経済効果はあったとしても、それと引き換えに品川区民は多大な被害を被ることへの見解を訊いた質問に対しては、千葉県民のことも引き合いに出しながら「でも、品川の場合は3時間ですから…」という発言もありました。要するに「3時間程度だから我慢しろ。」ということです。一方で「本当に3時間より増えないのか?」という疑問は残ったままです。

生活者ネットワークとしては、田中さやかが①今回の説明会についてなぜ区民への公開を拒んだのか②騒音軽減のための追加対策として滑走路への進入角度を3度から3.5度へ上げることについて危険度が増すという指摘があることについてどのように考えるのか。を質問しました。
吉田ゆみこは③海外の航空会社にも更なる安全対策を求めているがその強制力と実効性はあるのか?④それに関連して、もし何か起きた場合(落下物等)の責任の追及について質問しました。それぞれ答弁は以下のとおりです。⇒はその答弁に対するコメントです。

    1. 今回は区議会のみなさんと率直な意見交換をしたかったので、ということでした。
      ⇒率直な意見交換は区民がいてはできないのでしょうか?充分可能であり、率直な意見交換こそ区民に公開すべきです。区民を愚弄するかのような発言でした。
    2. 角度を増すことの危険性の指摘は承知している。最初のうちは安全性の確保を前提とした進入角度で慣れていき(この答えを文章で表すのは難しいのですが)最終的には3.5度を目指す。とのことでした。つまり、品川区が求めた騒音対策は現実的には実施されない可能性があります。
      ⇒これも東京・生活者ネットワークとして申し入れを行った際に質問しました。2回の答弁を聞いて「安全確保を前提とするのは当然、且つだれも反対できないことであり、結局これは現実には3.5度にする気はないのでは?」と疑いを持ちました。
    3. 海外の航空会社にも羽田を活用する場合には国交省が求める安全対策に同意することが前提であり、その同意書を提出しなければ許可しない。
    4. そして、もし落下物などあれば、国交省、保険会社、事業者などで委員会を設置して航空会社を特定して補償させる、ということでした。
      ⇒しかし、私が訊きたかったのは補償ではなく(「更なる安全対策」がとられなかったとしても事故の補償はされて当然であり、国が国民の立場に立ってそれを実行させるのも当たり前です。)事業上の責任の取り方です。今以上の安全対策をすることが前提なら、現実に何か事故があったら今以上の責任が求められるべきです。もし落下物があったら、たとえ具体的な被害がなくても、例えば羽田は利用できなくなるなどのペナルティがあってよいのでは?と思います。さらに言えば、補償に関しては「航空会社が特定できない場合は連帯して補償する仕組みを作る」ということです。事業としての責任を取る場合にもどこの航空会社か特定できない場合には連帯してペナルティが課せられるべきではないでしょうか?

 

以上、雑駁ですがご報告です。10人以上が質問をしましたが、全体通して特に新しい情報や答弁が得られたという印象はなく、これを非公開にする意味は全くなかったと改めて感じました。(たなか・さやか)(よしだ・ゆみこ)