2023年度予算案に賛成(一議案には反対)の意見表明を行いました。

品川区2023年度予算特別委員会は、3月6日から23日まで開催され、23日の最終日はいながき孝子が総括質疑を行い、吉田ゆみこが予算案第5号議案「品川区一般会計予算」、第7号議案「後期高齢者医療特別会計予算」、第8号議案「介護保険特別会計予算」、第9号議案「災害復旧特別会計予算」に賛成、第6号議案「国民健康保険事業会計予算」には反対して、意見表明を行いました。

今議会の予算特別委員会は、森澤恭子区長が就任して初めての予算編成を審議する委員会となりました。
特別会計を含む総予算は2,729億3,447万円となり、一般会計は1,987億9400万円、前年比5.1%増の予算となります。
予算の概算を見ると、歳入に占める特別区税及び地方消費税交付金、特別区交付金、国庫支出金の前年比はそれぞれ5.6%、15.7%、7.4%、9.6%といずれも増額。特別区税は29億2300万円の増を見込んでいます。
歳出では、民生費が48%と特出していますが、高齢福祉、障害者福祉、児童福祉、生活保護と扶助費が多岐にわたることと、関連施設運営費も含まれているため当然といえます。
現在作成中の品川・生活者ネットワークニュースNo.139に詳しく示させていただきました。
後日ホームページに掲載します。

8日間の審議では、様々な課題を取り上げて審議しました。
すべての予算に賛成というわけには当然いきませんが、大筋では、賛成できるものと判断し、以下の意見表明を付して、賛成の意見表明を行いました。
ただし第6号議案「国民健康保険事業会計予算」には反対しました。

 

品川・生活者ネットワーク意見表明 前文
品川・生活者ネットワークを代表して意見表明をいたします。
2023年度の一般会計についてです。
今、最優先とすべき課題の一つに、少子化対策があげられます。
区が進める子育て支援策は評価しますが、根本的な少子化対策のためには、若者が未来に希望を持てる社会へと変換するための抜本的対策が求められます。
若者が自分の人生設計を考えるとき、教育や家族をもつことへの金銭的負担感の軽減が必要です。
区は、若者が教育を受けること、家族を持つことを選択できるような継続的、且つ根本的な支援策を講じるべきです。

また、新型コロナウイルス感染症についてもいまだ終息とは言い難く、警戒の手を緩めるべきではありません。
さらに次のパンデミックに備える体制整備も優先課題です。
その中で、区内各地で進む大規模な再開発については再考すべきと改めて主張いたします。

しかし一方で、たとえ万全ではないにせよ、生活者ネットワークが求め続けてきたヤングケアラーへの支援策が具体化されたこと、給食費の無償化など、速やかに執行されるべき予算も多いと考え、一般会計全体としては賛成いたします。
後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計、災害復旧特別会計の各会計予算に賛成いたします。
国民健康保険事業会計には反対します。


以下、何点か理由を申し上げます。
国民健康保険事業会計については、これまでの国民健康保険制度が抱える矛盾点をそのまま認めることを前提とした、2018年度改定の品川区国民健康保険条例に基づいています。
今議会に上程された第28号議案、品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例については、出産一時金の増額など一部評価できる点はあるものの根本的な矛盾の解消にはなっていません。
国民健康保保険料の上昇は、皆保険の仕組みからいや応なく漏れざるを得ない人々を既に増やしています。
皆保険制度の必要性とその維持をうたいながら、無保険者を生み出している状況は看過できません。
したがって、当事業会計には反対します。

新型コロナウイルス感染症は、感染が拡大してから既に4年目となり、国は5類移行を決定しましたが、終息とは言い難く、警戒の手を緩めるべきではありません。
次年度も、区として次々に対策を打つ必要が出てくると考えます。
その中で、今後のパンデミックの備えとして区の医療体制や、保健所機能の強化を求めます。
生活者ネットワークは、まちづくりには何よりも情報公開と区民参加が必要だと主張しています。
残念ながら、現在、品川区内で行われている多くの再開発事業では、それが不十分と言わざるを得ません。
公園整備のPFIの手法についても「手法の検討」とされていたものが明確な説明や議論がないまま、いつの間にか対象が絞られ、「実行の検討」とされてしまったことには異議を唱えます。
PFIについては、民間の先進的な経営手法や活力を公共施設運営に活用できるというメリットがうたわれる一方で、既に導入された自治体では、問題点の指摘があることも事実です。
制度導入に当たっては、区民への充分な情報公開と慎重な検討がなされるよう求めます。
新型コロナウイルス感染症は様々な人たちの暮らしに大きな影響を及ぼしましたが、感染症拡大以前から弱い立場にあった人たちに、より大きな影響をもたらし、危機的な状況に追い込んでいることが明らかになりました。
女性・若者の自死が増えていることに強い危機感を覚えます。品川区が自死予防のため様々な施策を実行していることを評価します。
何とか、死を選ぶ前に、何らかの支援につながることができるよう、これからも区としてさらにアンテナを高く張るとともに、支援団体とのネットワークにより施策を進めることを強く要望します。

性的マイノリティの方たちのパートナーシップ宣誓制度の実現を評価します。
性的マイノリティの方たちの人権が守られる施策が一歩進んだことになります。
今は、都のパートナーシップ宣誓制度の活用による実現ですが、本来は、区としてのパートナーシップ制度を求めます。
 

次に学校給食についてです。
給食費を無償とすることは評価をします。
しかし、代表質問でも主張しましたが、それが食の質の低下を招くことはあってはなりません。
これまで通り、出汁はきちんととる、食品添加物や遺伝子組み換え食品は使わない、などの方針は継続することを強く求めます。
また、ゲノム編集食品についても大いに懸念を持っています。
国は、遺伝子の一部を切り取るゲノム編集については、他の遺伝子を組み込む遺伝子組換えとは違い、自然界で起こる突然変異と同等と詭弁を弄していますが、人工的な遺伝子改変には違いがありません。
環境への流出も大いに懸念されています。
学校給食においては、遺伝子組換え食品と同様に、ゲノム編集食品はできる限り排除することを求めます。

生活者ネットワークは、様々な化学物質に問題意識を持ち、主張を続けています。
しかし、残念ながら日本では、化学物質の影響について関心が薄いのが現状です。
また、品川区も、市民から区内施設で使用された化学物質の成分についての問い合わせに対し、答えられないという現状が明らかになりました。
また今、環境問題としてプラスチック問題が多くの関心を集めていますが、プラスチック問題は、その組成に含まれる化学物質の問題でもあります。
そして、生活者ネットワークが主張を続けている柔軟剤の香りの害の問題は、香り成分の化学物質問題であると同時に、その成分を包んでいる超微細なプラスチックカプセルの問題であることを、改めて指摘します。
見直しが進む品川区環境基本計画には、身近に数多く存在する化学物質の悪影響について、予防原則にのっとって表記をすることを要望します。
また、オンライン・デジタルの必要性・有用性がうたわれる中で、5Gの電磁波の人体への影響についても、予防原則に基づいて注視していくことを求めます。

最後に、羽田新ルート問題とリニア中央新幹線の問題です。
生活者ネットワークは両計画とも発表当初より反対を主張してきました。
多くの区民が羽田新ルートで懸念していたのは、騒音と落下物ですが、さらに気候危機をすすめるCO
を削減する視点からも大きな問題です。
ご承知の通り、フランスでは国民に対し、電車で2時間半以内で移動できる場所への飛行機利用を控えるよう求めるなど、航空機の利用は減らす方向です。


また、リニア中央新幹線についても、膨大な電力消費を前提としており、気候危機をくい止めようとする世界の流れに逆行しています。
さらには、国も安全性を担保する法律ではないと明言する大深度地下法を根拠に工事が進められており、既に調布市で起きた東京外かく環状道路の事故に鑑みれば、少なくとも調布市の事故について一定のけじめがつくまでは、工事の中断を求める判断を品川区として行うべきです。
羽田新ルートは確かに国の施策であり、リニア中央新幹線もJR東海の事業であるとともに、そこに多大な融資を行っている国の事業です。
一方で、両事業とも、区民の暮らしに直接関わる自治体政策の問題でもあり世界中で進められる気候危機対策の問題でもあります。

区は自治体の役割として、世界中で進める気候危機対策としてのCO削減を進めることや、区民を守る立場を公の形で主張すべきです。
生活者ネットワークは、今からでも両計画の中止を国に対して求めるべきと主張します。
その他、ここまで生活者ネットワークが指摘・提案させていただいた意見を予算執行に活かしていただくことを要望し、意見表明といたします。