品川区後期高齢者医療に関する条例」に反対!

2008年度第1回定例会終了・今年度予算可決

品川・生活者ネットワークは、以下のように反対討論を行ないました。

「4月から始まる後期高齢者医療制度は老人保険制度に代わり75歳以上の高齢者を全員強制的に加入させる制度です。年齢で線引きをし、特に医療リスクの高い高齢者だけを集めた保険であり、給付費の4割は現役世代の保険料が支援金として投入され、支援金の算定には健康診断の目標達成などが盛り込まれ、保険者間の競争につながりかねません。

制度がつくられた理由について「高齢化にともない増加する医療費に対して、給付と負担の均衡を図り、将来にわたり持続可能な医療制度を確保するため」といいますが、本当の狙いは医療費の抑制です。

老人保険制度では高齢者は資格証明書の発行を除外されていましたが、この新制度では保険料を滞納すると保険証が取り上げられて代わりに「短期保険証」や「資格証明書」が発行されることになります。資格証明書では医療関係窓口では10割負担となるので、支払えずに診療を断念することにもなります。受診抑制を招き、高齢者のいのちと健康に重大な影響をもたらすことも懸念されます。

またこの保険は個人単位です。今まで家族の扶養に入り保険料を負担する必要がなかった高齢者も75歳から新たに保険料が生じます。国は保険料徴収の一年先送り、保険料支払いの減免など応急対策を示していますが、一次しのぎに過ぎません。保険料は2年ごとに見直され、都の補助金や区市町村の繰り入れで下げられている保険料もどうなるのか見通しは不透明です。
後期高齢者が増え、また医療給付費が増えれば「保険料値上げ」か「医療給付内容の劣悪化」というどちらをとっても高齢者は「痛み」しか選択できない、あるいはその両方を促進するしくみになっています。

制度の周知ができていないことも問題です。区が開催した説明会の参加者は約200人と対象者が3万人であることを考えるとわずかでしかありません。保険料徴収の通知ではじめてこの制度を知るのではと心配です。区報の特集号では保険料は均等割り37,800円に所得割額を加えることが示されていますが、一番知りたい「自分の保険料はいくらなのか」を紙面から読み取ることができません。

さらに問題なのは、保険者が広域連合であり、責任の所在があいまいになることです。62区市町村が参加していますが、保険料を決め、運営を監督する議会の議員は、すべての自治体から選ばれているわけではありません。区民の声は届きにくい、当事者である後期高齢者の意見を直接反映できるしくみとしても不十分で、情報も公開されにくくなります。

国も余りの負担の大きさに急きょ付け焼刃の対策を取らざるを得ませんでした。広域連合は被保険者の負担には目もくれず、非常に高く医療費を推計し、保険料も高くなっています。支援金や基金積み立ての財政的な負担がどうなるか、区民が保険料の負担に耐えられるのか、始まってみなければわからないような制度になり、ますます混迷を深めています。

このように課題の多い制度に対して、残念ながら品川区は区民生活への影響を精査する姿勢も見られません。品川区の役割は後期高齢者医療制度の中止と、医療制度改革そのものの見直しを国に求めることです。