2015年第4回定例議会を終えて
品川区議会第4回定例本会議は11月26日から12月9日の会期で開催されました。
区長から提出された議案は条例議案が9件、契約議案が1件、事件議案が19件、予算議案として補正予算が1件、専決処分の報告案件が4件でした。そして議員提出議案1件「品川区おもてなし条例」が議会の審査にかかりました。
それぞれの委員会に付託されて議論された議案の中で賛否が分かれた案件について、12月9日の最終本会議で改めて採決が行われました。
品川・生活者ネットワークは、
◆第85号議案「品川区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用および特定個人情報の提供に関する条例」
◆第90号議案「品川区立学校設置条例の一部を改正する条例」(なお第89号議案から第93号議案は義務教育学校を前提とした議案であるため反対をしました。)
◆第113号議案「小山三丁目地内特別区道路線の認定について」
◆議員提案12号議案「品川区おもてなし条例」について反対をしました。
以下その理由と討論を添えます。
「品川区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用および特定個人情報の提供に関する条例」
これは、要するにマイナンバーに関する条例です。通称マイナンバー法が制定されたことに伴い、品川区に於いて、法律で規定された事務以外の個人番号の利用範囲を定めるとともに、他の機関に特定個人情報を提供する場合における事務の範囲、提供する特定個人情報等を定めるものです。
品川区ではすまいるスクールの利用料徴収に関する事務や奨学金の貸し付けに関する事務、私立幼稚園児の保護者への補助金、入園料補助金の交付に関する事務など、また心身障害者福祉タクシー乗車料金助成事務などもマイナンバーの利用範囲になるとされました。マイナンバー制度そのものが、国民一人ひとりを国が一生涯にわたって識別し追跡することを可能にするしくみであり、行政にとっては課税や徴税に好都合ですが、個人情報の流失やプライバシーへの侵害への不安が拭えません。ネットワークシステムによる特定個人情報の提供における安全対策にも懸念があります。生活者ネットワークはマイナンバー制度そのものに反対であり、それを前提とするこの条例にも反対です。
「品川区立学校設置条例の一部を改正する条例」
品川区は小中一貫校を推進しており、施設も小中一体にした学校が6校あります。この度、学校教育法が改まり小中をあわせた「義務教育学校」が制度として認められたので、これら6校を義務教育学校という新しい「学校種」とするという条例です。 生活者ネットワークは、施設一体型の「小中一貫校」には問題が多いのではないかと疑問を投げかけてきました。その立場で言えば拙速に新しい制度に変えるべきではなく、きちんとこれまでの検証を行った上で、新しい学校種にするかどうかの検討を行うべきですが、品川区は客観的な検証をきちんと行っていません。
法の改正を理由としていますが、この改正はあくまで「小中学校に換えて義務教育学校を置くことができる」とするだけであって、急ぐ必要は全くないものです。
また、相変わらず議論が「全く」といって良いほどなされていないのも反対の理由です。議論どころか、地域やPTA、同窓会への説明も不十分であり、本当に「拙速」そのものであるといわざるをえません。
この条例案に関して田中さやかが反対討論を行っております。反対討論全文はこちらからアクセスしてください。また、この条例に関連して、義務教育学校を前提とした条例改定が4本あり、その条文の中には評価すべき点もありましたが、義務教育学校を前提としているためそれらにも反対をしました。
「小山三丁目地内特別区道路線の認定について」
これは、武蔵小山駅周辺の再開発に関連するものです。再開発計画の中に38階建の超高層ビルの建設が予定されており、そのためには道路も広げておく必要がある。そのための区道の認定です。武蔵小山の商店街の中では再開発に関する声が生活者ネットワークにも届いています。建設予定のビルには大きな商業施設も予定されており、「そうなったら商店街は寂れてしまうのではないか?」という声、「そんなビルが建ったらビル風がひどいのでは?ビル風が吹くと年寄りは危なくて歩けない」という多くが不安の声です。19階建のビルが建ち、以来ビル風に悩まされている住民にとって、倍の高さのビルへの懸念は当然です。もっと地元に暮らす人々の意見を聞き、環境や地域経済への影響などのアセスメントを丁寧に行うべきと考え反対をしました。
「品川区おもてなし条例」
これは、自民党から案が出された「議員提案条例」です。自民党議員からは「品川区は議会改革を進めている。この気運をさらに進めるためにもこれからどんどん議員提案の条例を作っていかなくてはならない、その皮切りとなる条例提出だ」という趣旨の提案説明を受けました。
生活者ネットワークとしても議会改革はずっと主張してきたことであり、議員提案条例も大賛成です。そもそも区における立法機能は区議会であり、条例を作るのは議会の本来の仕事です。
しかし、この条例案は市民の意見聴取も行わず、議会全体での議論もないままに、区民に「おもてなし」を押し付ける条例です。区民委員会に付託されており、田中さやかが明確に反対理由を述べています。田中さやかのホームページよりくわしくはご覧ください。
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以上、反対することが多い議会となりました。区長提案に反対を表明する私たちに「完全に野党になったな」の野次。
は?野党!?自治体は二元代表制で、区長と議員はそれぞれ区民によって選ばれ、信任を得ています。議員内閣制をとる国とは違うのに、与党も野党もない…、などとここで説明するのも本来蛇足でしょう。二元代表の一方の代表としての誇りはどこへ行った!とこちらこそ言いたいところです。
生活者ネットワークは二元代表制の議会の議員であることを肝に銘じ、つねに是々非々で緊張感を持って政策議論に臨んでいきたいと考えています。
品川・生活者ネットワーク 幹事長 吉田ゆみこ
政調会長 田中さやか