都政情報〜都議会生活者ネットの活動報告より〜

安心して子どもを産み、育てられる周産期医療体制の整備を!

 昨年秋、重い脳障害を起こした出産間近な女性が8つの病院に受け入れを断られ、出産後亡くなるという痛ましい事故が起きました。
 最初に連絡を受けた都立墨東病院は、総合周産期母子医療センターの役割をもちER(救命救急)にも指定されながら、その役割を果たしきれませんでした。都立病院は、困難な病状や状況を抱える都民にとって最後の砦であり、医師不足とはいえ、このような対応の遅れが人命を奪ったことは東京都にも大きな責任があります。

 2008年3月、都は周産期医療連携を行うためのガイドラインを策定しましたが、課題を捉えても問題解決に至るまでの議論や具体策の遅れが今回のような医療事故を誘引したことは否めず、都議会決算委員会、厚生委員会では各議員から質問が相次ぎました。
 その後、ようやく緊急対策が打ち出され、▼地域の医師を予め臨時職員として登録。都立病院での出産に協力する「産科診療協力医師登録制度の創設」▼総合周産期母子医療センターにおけるハイリスク患者の受け入れ、紹介機能の充実を図るための助産師などコーディネーターの夜間・土曜・休日の配置▼周産期医療連携病院の指定——などが補正予算で組み込まれました。

 都議会生活者ネットは、NICU(新生児集中治療室)やGCU(継続保育室)確保のための施設整備だけでなく、長期入院児の地域受け皿の充実、重症心身障がい児の在宅医療サポート体制の整備の必要性・緊急性を問い、福祉保健局全体で取り組むよう強く要望。さらに、大多数の妊産婦が地域で安心して出産できるようにするため、助産師との連携で女性の生涯を通じての健康づくりの推進が必要であることを指摘しました。(この報告は、品川生活者ネットニュース№68にも掲載されています)