市民とともに「品川区内自衛隊訓練実施に関する経緯説明等を求める申し入れ」提出しました
5月30日、品川・生活者ネットワークは市民のみなさんとともに表題の申し入れを行いました。
3月11日は14年前に東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故が起こった日です。
震災が発生した14時46分には、防災行政無線で黙とうの協力を区民へ呼びかけています。そのような鎮魂の日に区内では、陸上自衛隊第1普通科連隊第1中隊による”即応態勢訓練”が実施されました。
品川区によると陸上自衛隊は、”大災害時に車両等が使用できない状況を想定し、練馬駐屯地~市街地~品川区役所をゴールとした徒歩移動の訓練を行った。”とのことでしたが、
”即応態勢訓練”とは有事を想定した訓練であり、”有事”には戦争も含まれます。
品川区では2月4日に国民保護共同訓練(Jアラート訓練※)が実施されたばかりです。
また、今回の訓練に関しては区民への周知もなく、品川区議会への報告も訓練前日の3月10日午後6時半に議会事務局からのメール連絡に留まっており、全く周知がされていませんでした。
唯一、品川区長のSNS(Instagram)で本庁舎に到着する自衛隊員の様子と自衛隊員を激励するメッセージが投稿されていましたが、品川区としての事前告知や事後報告は見当たりません。
行政としての情報公開のあり方、取り扱いが適正に行われたとは到底思えません。
生活圏内で突然、迷彩服姿の自衛隊員の姿を目にした市民から、品川・生活者ネットワークへ不安と怒りの声が寄せられました。
品川・生活者ネットワークは、今回の経緯説明等を求め品川区長へ申入れ書の提出とヒアリングを求めましたが、
品川区長は出席しませんでした。
区長の代わりに、防災まちづくり部防災課 災害対策担当課長へ提出し、市民とともにヒアリングを行いました。
(※過去の記事をご参照ください)
■2月4日国民保護共同訓練(Jアラート訓練)の中止と、経緯の説明を求める申し入れをおこないました~戦争準備を認めない②~
■Jアラート訓練への抗議の声は報道されませんでした
■私は”排除”されました。~排除と差別、増税を生むJアラート訓練。メディアは”大本営発表”を繰り返さず”放送法”の本旨に立ち返れ~
■ヒアリング内容
①品川区内で、これまで行った即応態勢訓練の時期と回数。訓練の目的と、訓練を実施することになった理由は?
→2024年5月に初めて実施。2025年3月11日は2度目。
きっかけは2024年1月1日に発生した能登半島地震を受けて。
能登半島地震では、道路を救助車両が通れず救助に課題があったため、そのような災害に備えて実施。
②訓練の提案をしたのは品川区と、自衛隊とどちらからか。また提案時期と、提案する際の申入れ文書の存在について。
→2025年3月3日、自衛隊第1普通科連隊(東京23区の災害派遣・防衛警備を担任。災害派遣の他、PKO・イラクでの人道復興支援活動などに参加。)から、品川区担当部宛に文書にて実施する旨の報告を受けた。
その後、担当部から区長へ報告し、品川区は文書ではなく口頭で了承した。
(自衛隊からの申入れ文書については、担当課へ資料提供を求めているところです。資料が届き次第、添付いたします。)
③区議会から議員に届いた通知(通知は自衛隊からのもの?)には、”即応態勢訓練”と記載されている。
区は、一貫して災害救助訓練としているが、”即応態勢訓練”には戦争も含む。
Jアラート訓練実施直後の”即応態勢訓練”であるため、市民も生活者ネットワークも”戦争を想定した訓練ではないか”と推察している。区としての見解は。
→区としては災害救助訓練だと考えているが、自衛隊の考えは聞いてみないと分からない。
④生活者ネットワークは即応態勢訓練実施に関する周知方法について、行政運営として大きな不信感を抱いている。
生活者ネットワークの調査では、訓練後に品川区長のSNSのみで報告がされていた。
区議会には、訓練前日の18時半に議会事務局から議員あての一斉メールが送られただけである。
昨年と今回の訓練に関する市民周知と告知方法について、改めて説明を求める。
→昨年5月20日の実施については、4月30日に自衛隊からの申入れを受けている。
今年は前述したように、3月11日の実施については3月3日に通知を受けている。
自衛隊の訓練であり品川区として何か訓練に協力をするわけでもないため、前回も今回も区民への周知はしていない。
今後については、周知方法は検討する。
区議会への報告も前回は行っていない。今回は、議会へ報告した方がよいのでは?との声があり報告した。
庁内周知時期については、現在、確認中。(情報が届き次第、追記します。)職員全員へインフォメーションしている。
区長のSNSについては、区として関与していない。
⑤訓練実施後、自衛隊から区内での災害時等の危険箇所等報告を受けているのか?
また、区長のSNSでは区長をはじめ副区長や当時の防災まちづくり部防災課の災害対策担当課長が自衛隊員と共に写っており、報告がされている。
”品川区長”として、SNSで発信しているため「区が関与していない」ということは、逆に問題ではないか。
本来であれば、区の公式HP等での市民周知が必要だと考えるがいかがか。
→自衛隊から、訓練後の報告は受けていない。品川区としても報告は特に求めていない。
周知については今後、検討していく。
(区長のSNSについては、回答無でした。)
⑥訓練の発案や発信者は誰なのか。
この質問の意味は、シビリアンコントロールが機能しているのか否かの確認である。
→防衛省陸上自衛隊第一連隊である。
…そのほか、参加者からは、
「区長のSNSでの発信を区として把握できていないということは、非常に問題であり大変危険なことだ。行政として自覚を持ってほしい。」
という厳しい意見や、
「自衛隊を街中に歩かせ、市民に”慣れ”させることが目的ではないか。」
「Jアラート訓練と言い、戦争準備を進めているように感じる。」
などの危惧する声が多数、聞かれました。
以下、提出文書本文です。
2025年5月30日
品川区長
森澤 恭子様
品川・生活者ネットワーク
代 表 田中さやか
品川区内自衛隊訓練実施に関する経緯説明等を求める申し入れ
2025年3月11日、品川区で事実上の陸上自衛隊の市街地訓練が実施されました。この訓練実施に関する記述は、品川区のホームページには一切なく、公式SNSにも取り上げられていませんでした。また、区民に対する事前の告知はなく、品川区議会にも事前報告はありませんでした。前日の3月10日午後6時半に議長からの指示として、議会事務局より「陸上自衛隊第1普通科連隊第1中隊による即応態勢訓練について」という件名で訓練実施の情報が各議員宛にメールが届いただけでした。
品川・生活者ネットワークは、事実上の陸上自衛隊の市街地訓練を、市民へ情報提供することは行政の当然の役割であると考えます。しかし、品川区はそのような体制はなく、区長個人のSNS(Instagram)で、『陸上自衛隊第1普通科連隊第1中隊が、首都直下地震を想定し、車両等が使用できない状況において練馬駐屯地から各区役所等へ徒歩での移動を行う訓練を実施した。』という投稿にとどめています。
「東日本大震災と、東京電力福島第一原発事故が起こった3月11日の追悼の日に、なぜ、自衛隊が区内を歩いているのか?」という声が生活者ネットワークには寄せられました。また、事前の情報が皆無のため自衛隊員が集団で町中を歩いている姿に、何があったのかと釈然としない思いを抱いた方がいたのではないかと推察します。これは、区の広報業務を迅速適正に行うことができれば、避けられた事態です。
よって品川・生活者ネットワークは以下の項目を申し入れます。
記
1.情報公開は民主主義の根幹であり、市民の知る権利を保障するために行政として積極的に開示を進めていくこと。
1.市民生活に影響を及ぼす事案については、国、都の施策であっても速やかにしかるべき方法で情報提供を行うこと。
1. 即応態勢訓練は有事を想定した訓練であり、有事には“戦争”も含まれます。Jアラート訓練が実施された直後の『自衛隊の即応態勢訓練』は、戦争を想定した訓練ではないかと推測します。戦争を想定した市街地訓練を認めることはできません。今後は訓練を行わないことを求めます。
以上