基調講演「保健室から見る子どもたち」

基調講演に先駆けて、子ども部会の「コンビニエンスストアの成人向け雑誌の陳列状況調査」の報告を行う田中さやか

品川・生活者ネットワーク2018新年集会(1月21日:大井町)は「保健室から見る子どもたち」と題して、養護実践研究センター代表の大谷尚子(おおたに・ひさこ)さんを講師に迎えました。「人間形成の教育」における養護のルーツでは、「教授」「訓練」「養護」となるのですが、これを横軸に、根底に「養護」、その上に「訓練」、そして「教授」を配置すると「養護」は本来教育の基盤であると大谷さんはおっしゃいました。

例えば東日本大震災時、発災直後学校では安否確認を行い、

養護実践研究センター代表の大谷尚子(おおたに・ひさこ)さん

無事だったねと喜び合う「養護」、友だちが命を失うという経験をすれば、そのことに寄り添った「養護」が必要で、その上での「訓練」、そして復旧が進むと「教授」となるという説明はとてもよく理解できました。

 
一方、家庭養護が学校化してきたという言葉に衝撃を受けました。人間の子どもは「生理的早産」で生まれます。未熟児とかではなく、どの子もみんな当然、手のかかる存在で、食事、排せつ、睡眠などの世話を受けながらゆっくりゆっくり成長します。これを助けていくことが即ち家庭養護です。しかし、家庭や学校が子どもに対して「養護」を行うことが難しくなっている社会的背景があるといいます。
勉強や成績という教育の管理者となることを親が求められ、シンプルに成長を見守り「あなたが大事」と伝えにくくなっていると大谷さんは指摘します。そんな社会の映し鏡のように子どもたち自身が余裕をなくしているが、保健室の養護教諭は、子どもにとっての「最後の砦」。その砦をたくさんつくっていくこと、そして大人の一人ひとりがその砦になることを子どもたちが求めているという言葉に共感し、こころ豊かに、子どもたちに向き合いたいと改めて思う時間を過ごしました。
第2部は品川・生活者ネット恒例の交流会。運動グループであるたすけあいワカーズたんぽぽ、高齢者ミニデイついたち会、まち品川、子ども食堂ふたばや、市民グループからさよなら原発品川アクション、福島保養プロジェクト、障害児を普通学校へ品川連絡会と次々とマイクをリレー。ひとりにしない子育て介護、一人ひとりの人権が守られる社会をめざして新しい年のスタートを切りました。
今年もよろしくお願いします。