改正介護保険 スタートから8か月

〜制度改正に見合った自治体の対応ははかられたのか〜

 改正介護保険法が実施されて8カ月。家族に頼っていた介護を相互扶助し、高齢社会を支えていく目的でつくられたはずの制度は、5年を経て早くもサービスの後退が危ぶまれています。

 見直しにより、6段階の要介護認定から一番軽度の「要支援」が1と2に別れ、「要介護1」から約7割の方が要支援2に移行しています。さらに、今まで介護保険の1割負担で利用されていた福祉用具(車椅子・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト)は、対象外となりました。認定審査の結果、「介護度が低い=自立度が高い」と判定されれば、これらは利用できなくなり回収となります。また、病院の送迎はできても、病院内での受診、精算などの付き添いはできなくなりました。特殊寝台についても軽微なものも出てきているようですが、福祉用具の販売価格やレンタル料、介護保険外のサービスなどの料金体系は、民間事業者任せというのが実情です。

 一方、区の機関として制度を支える在宅介護支援センター(国の示す地域包括支援センターにあたる)は、総合相談・実態把握、介護・介護予防の必要性の見極めや、介護・介護予防のケアマネジメント、居宅介護支援事業のバックアップなど、地域ケア体制を形づくる重要な役割を担っており、居宅介護支援事業者が介護給付マネジメントを担当するという住み分けとなっています。

 東京・生活者ネットワークもその設立時から実行委員会参加する、9月に行われた市民集会「NO! 寝たきりデー」では、自治体の介護予防への取り組みや地域包括支援センターの設置状況、ケア者の労働問題などが報告され、「こんなはずだったか」といった声も多く聞かれました。2015年の日本の高齢化率は20%超。制度導入で置き去りにされた一般高齢者事業のありようもまた、大きく問われています。

 生活者ネットワークは、改正介護保険法実施後の区の取り組み状況を調査するとともに、要介護から要支援に移行した人を対象に、認定は適正か、実態に合ったサービスが提供されているか、などを検証する3か年継続実態調査を進めています。実態調査をもとに、制度改正に見合った自治体の対応、今後の地域ケアのありようを積極的に提案していきます。

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