時代に逆行した議会改革案を自民党・無所属の会が提出。提出すること自体認めることはできません。

自民党・無所属の会の提案は、市民に開かれた議会を目指す品川・生活者ネットワークとして到底受け入れられるものではありません。

2024年8月29日(月)に開催された品川区議会・議会運営委員会で会派「自民党・無所属の会」から以下のような「議会改革に関する提案」が提出されました。
開かれた議会、議員間での討議を充実し地方自治体の立法機関としての議会改革を求めてきた品川・生活者ネットワークとしては看過できません。
品川区議会は、憲法に則った法律や規約をもとに良識の範囲で議会運営が進められてきました。
自民党会派の提案のような『制限』を課すようなルール変更は拙速に進めるべきではありません。

自民党会派による議会改革に関する提案(一部抜粋)—————

討論本来の趣旨から逸脱する発言が昨今見受けられる。
自民党・無所属の会は、以下のとおり一定の制限を設けることで討論の趣旨に立ち返るべく賛成反対の討論が展開されることを求める。

事例①他議員・会派・政党に対する批判

事例②委員会付託され議論後、結論が出た案件に対して重複繰り返しの質疑や主張→委員会審議への冒涜


提案1.
議案審査・請願・陳情における賛成反対討論に一定の時間制限を設ける

例)一般質問で割り当てられている各議員の質問時間20分の10分の1にあたる2分を目安に

提案2.議案審査・請願・陳情への討論は所管する委員会の議員は討論できないとする

提案3.発言内容は討論の内容に限ることを明文化
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【自民党・無所属の会による提案の問題点】
問題点①「他議員、他会派、政党に対する批判」に客観的な根拠が示されていない
事例①については、地方自治法132条で議員の発言について、議会の会議や委員会において、議員が無礼な発言を使用したり、他人の私生活について言論することを禁じています。これを遵守し、議員の自由な言論を通じて民主主義政治が実践されることが謳われており、この条文を運用すれば新たな規定は不要と考えます。

問題点②委員会で結論が出た案件に対して、質疑と主張は委員会への冒涜であるかどうか
事例②については定例会最終本会議で各常任委員長は「…委員会における審査の経過および結果です。何とぞ本委員会の決定どおり可決ご決定いただくようお願い申し上げて、委員長報告を終わります。」と発言しています。あくまで委員会の結果であり、簡単な委員長報告では判断はできず、議長を除く議員に賛同を求めるための詳細な説明は当然のことであり、委員会の冒涜には当たりません。

問題点③時間制限を設ける
言論の府である議会において、議員の発言を制限することは、議会の本旨を否定するにほかなりません。

問題点④委員会審議に参加した委員は討論できない
討論は議員個人が賛成反対を明確に示し、議場の議員に賛同を求めるための行為であり、委員会の委員であるか否かを問題とするのは論外です。

問題点⑤発言の内容は討論の内容に限ると明記
討論の目的を逸脱しない限り、区民から負託を得た議員活動の発言を抑制するような明文化は議会の権限を越えています。

 

以下、品川・生活者ネットワークの見解

〇他議員・会派・政党に対する批判とは
討論は、議員が条例議案や請願・陳情について賛成反対を表明し、議場において他の議員に賛同や同意を呼びかけるために行われるものです。

討論がどういうものであるかは、すでに全国町村議会議長会編の「議員必携」に明記されており、その討論の場を、”違う形”に利用する議員がいるのであれば、「議員必携」に明記された内容を根拠に「それは討論の本質とは違う。」と、当該議員に改善を促すことを優先すべきです。

また、会派「自民党・無所属の会」の提案では、客観的に”批判”かどうかを判断する存在を想定しているように読み取れます。しかし、この点についても、「議員必携」に示されている「議員の職責」に則ってそれぞれの議員が自己の良識に従って判断するべきものです。具体的に該当する部分も示さずに自民党・無所属会派の主観で”討論本来の趣旨から逸脱する発言”と主張し、根拠を明確にしないままルール化されるのであれば非常に危険な提案です。

 

〇賛成反対討論の制限時間を定めることについて(自民党・無所属の会の提案は2分)
討論をする場合には、他の議員の賛同を得るために分かりやすく正確な事実や根拠などを示し討論に挑みます。
そのため、討論趣旨をわきまえた、丁寧な内容の討論をする場合に時間制限を設けることは、討論の目的にそぐわないことは明白です。会派「自民党・無所属の会」は”たとえば”と但し書きではありますが、目的が異なる「一般質問」を引き合いに『2分を目安に』と発言したことが簡易記録として残っています。2分を導き出した算定方法は言語道断です。

 

これまでも品川・生活者ネットワークは、議会改革の提案をさまざま繰り返し行ってきました。例えば、
〇委員会のインターネット中継〇デジタルサイネージなどで議会中継の放映〇会議録に請願・陳情の文書を掲載、などです。
こういった議会改革は取り上げず、民主主義政治の実現を後退させるような提案が議会運営委員会で取り上げられたことにも納得ができません。
品川・生活者ネットワークは会派「自民党・無所属の会」の「議会改革に関する提案」に、賛同できません。

8月29日の議会運営委員会の会議録はまだHPに公開されていませんが、同委員会内での委員の発言主旨を抜粋します。

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議会運営委員会議題の『その他』の項目として、こしば議会運営委員長より議会改革に関する発言があり別紙の内容の提案がありました。この件については、持ち帰りとなり今後の議会運営委員会で検討していくことになりました。

主な発言主旨

〇安藤委員:受け入れがたいが議論はする。討論の課題解決を時間制限で行うことの合理性が見られない。請願・陳情は現状マスキング対応しており、制限するのは良くない。別件でこれまで共産党から提案したものが取り上げられていない。

〇須貝委員:他の政党・会派、他の議員への批判は聴いていて嫌になることがある。時間制限は2分は短いが、ある程度必要。陳情の件名の個人名については職員等への配慮は必要。

〇あくつ委員:最近、討論の本旨に則っているのかというものがある。本来、制限を懸けるべきではない。これまでマナーを守ってこられてきたが、、これが随分と変わってしまった。この話が出てくるのは最もであるし、嘆かわしい。

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次回の議会運営委員会は9月18日(水)10:30より区議会議会棟5階第4委員会室で開催されます。
傍聴には議会棟4階議会事務局で手続きが必要です。

品川・生活者ネットワーク
代表       田中さやか