生活者ネットワークの情報公開の主張に対し、情報公開審議会は「全文公開」が妥当と判断。求めていた情報が公開されました!
品川区では、2016年度から小中一貫校が「義務教育学校」となり、小学校・中学校と併存することになりました。この問題について田中さやかは2015年第4回定例本会議の一般質問で義務教育学校設置条例の提案に至るまでの経過について質しました。区教委は「一貫教育推進委員会体制部会」「一貫校校長連絡会」で検討した結果の決定であると答弁、具体的な審議経過・内容についての説明はありませんでした。どのような議論がなされたのかを確認するため品川・生活者ネットワークはその根拠となる議事録を公開請求しました。それが一部非公開となり、公開できない理由として「公にすることによる様々なおそれや著しい支障」「実質的な不利益」「悪影響が生じるおそれ」などを挙げました。しかし、その理由に挙げた内容が具体的に一切不明なため、この決定の取り消しを求めて処分庁の教育委員会と文書のやり取りを繰り返し、最終的に本年6月20日の「情報公開等審議会」開催に至りました。
審議会では意見陳述を求められ、これまでの経緯と意見を述べ、いくつかの質疑応答もありました。そして、約1ヵ月後「対象となった文書全てについて、公開すべきである」という答申が教育委員会に対して出されました!答申内容を一読すると、私たちがそれまで反論・再反論書で主張した意見が、審議会でほぼ主張通り認められた結論になっています。特筆すべきは、公開を求めていた議事録こそ「教育行政の重要な施策を検討する場のものであり、意思形成に至るまでの審議は、公にすることにより審議の透明性の確保に関するメリットが認められる」と、正当な判断示されたことです。
品川区の情報公開条例は「原則公開」を定めており、「特段の理由」がある場合に限り「非公開」です。「特段の理由」には具体性があるべきで、具体性のない「非公開理由」が認められては区民にとっての権利が侵害されます。今回の情報開示請求とそれに続く教育委員会との文書のやり取りは当然の権利行使であり、品川区の情報公開レベルが問われるものでした。
この審議会答申には強制力はない、ということで教育委員会の対応を注視していましたが、同委員会は審議会答申を尊重すべきと判断し、「一部非公開」の決定を破棄し、改めて議事録を公開しました。固有名詞などは黒塗りになっていましたが、もともと「誰が何を言ったか」ではなく「議論の内容」を知りたかったのであり、求めていた情報は全て公開されました。当然の判断ではありますが、審議会の答申を尊重した教育委員会の姿勢は評価します。
しかし、最初の情報公開請求から文書のやり取り、審議会、そして最終的に情報が公開されるまでの一連の手続きは市民にとっては大きな負担です。当然の権利行使とは思いながら、途中であきらめてしまう人も多いのではないでしょうか。品川区は情報「原則公開」の意義を重く受け止め、公開を進めるべきです。
品川・生活者ネットワーク
事務局長 八木裕子